映画 「28日後」 のレビューです。
ゾンビ映画の代表格として、友人に薦められたので観てみました。
私が今まで持っていた ゾンビ観 を覆すほどの名作だと感じます。
私のゾンビ観とは CAPCOMのゲーム 「バイオハザード」 のゾンビです。動きが遅い、拳銃で撃ってもなかなか死なない、人肉を食らう、といったところが主だった特徴です。私の中では、先の特徴とは異なりますが、キョンシーやグレムリンもゾンビの中のひとつとして数えていました。
28日後に登場するゾンビも、ウィルス感染によって発症します。その症状とは、人間を凶暴化させるというもの。ウィルス感染者の血が未感染者の体内に入ることで感染、感染に要する時間はたった10秒程度。
バイオハザードにおけるゾンビは耐久力がなかなか高く、倒すことが難しかったのですが、28日後におけるゾンビ(ウィルス感染者)の場合、耐久力は普通の人間並みです。けれど、28日後のゾンビは動きが早いので "走って逃げても逃げきることができません"。
しかしながら、今までとは違うゾンビ という意味での恐怖もありますが、メインテーマは違うところにあると私は考えています。 この映画の趣旨は、"凶暴性の伝達" にあると思われます。ウィルスと同じように凶暴性というものが人から人(もしくは映像から人)へと伝達されていくことの恐怖が、この映画の趣旨なのではないでしょうか?
映画の中でウィルスに感染した人間は凶暴化するのですが、ウィルスに感染していない人々(軍人たち、および主人公のジム)もどんどん凶暴化していきます。要塞化した臨時基地に襲い掛かるゾンビを軍隊が撃ち殺すシーン、セリーナ達を救うためにジムが軍人の目をえぐるシーンなどがその凶暴性の発露を見出せるシーンと言えるでしょう。ただ単にセリーナたちを救出するためだけであれば、ジムが軍人の目をえぐる必要性はなく、ただ気絶させればよいだけですから。
凶暴なシーンを目の当たりにすることによって人間は自己の凶暴性も発露する、そしてその人が起こす凶暴行動を他の人が見ることによって、他の人にその凶暴性が伝搬していく・・・。
このように考えると、オープニングでベッドに縛られたサルが凶暴なシーン(複数画面に凶暴シーンが延々と流され続けている)を見続けている実験が、この映画の趣旨を如実に語っているように感じます。詳細は語られていないので憶測になるのですが、オープニングで出てきた研究室では "ウィルスに感染して凶暴化したサル" と "ウィルスに感染していないけど凶暴シーンを見続けたサル" の比較実験をしていると考えるのは深読みしすぎ??。
ということは、こうしたホラームービー(凶暴なシーンあり)を見ている私も、凶暴性が伝搬されている(凶暴化している)ということになるんでしょうかねぇ?
本作の続編となる 「28週後」 も見てみたいと思います。