下流の宴

下流の宴

下流の宴

主人公が切り分ける上流/下流のありかたを通じて、今の日本で起きている社会現象について考えさせられる本。林真理子著。

著者が異なる 下流社会 という書籍もあるが、こちらの「下流の宴」は小説です。

NHKのテレビドラマでも放映中で、今晩の放送で最終回を迎えます。

私は、テレビドラマのほうを最終回前まで見ていたので、小説版はLASTの150ページくらいだけを読みました。

医者の娘で、中流のなかでも上のほうの暮らしをしている主人公。悩みの種は、医学部を目指していたはずの息子が高校中退してフリーターをしていること。だが、それは宴の始まりに過ぎなかった・・・。

息子に同棲相手(主人公は下流と罵る)ができ、旦那は出世街道をはずれ、娘が良縁で結婚できたと思った途端に結婚相手がうつ病になってしまう。

反対に、下流であった息子の同棲相手が医学部を目指して勉強を始め、上流の道へと進み始める・・・。

バブル時代の価値観を抱き続けている主人公、そして娘。

そうした価値観や期待についていけず、時代の狭間で気力を無くしていく、主人公の息子、旦那、娘婿。

唯一、元気なのは珠ちゃんと、その周りを囲む人たち(ゲイな方々)。

既存の価値観にしがみついている人たちがどんどん堕ちていく中で、"今" に立ち向かっていく人たちが元気にたくましく描かれている。

ただ、小説版のラストにおいて、男性陣の中でただ一人だけ主人公の息子(翔)は、下流として "今" に立ち向かっているように感じました。それでよいのかどうかはともかくとして。

テレビ版の最終回はこれからですが、ラストのシーンをどのように表現するのか楽しみです。