概略
私が使っているヘッドホンShure AONIC 50。
今回、ファームウェアがアップデートされ、ハードウェアEQ(イコライザー)に対応しました。
これまでは、専用アプリ(ShurePlus PLAYモバイルリスニングアプリ)によるイコライザーしか提供されておらず、そのアプリ内で再生された音楽のみ音質を変えることが可能という、実用性があまりない仕様。
追加された機能の「ハードウェアEQ」では、ヘッドホンの内部の機能で音質を変えることができるというもの。
世間ではあまり話題になっていないようなので、私の使い方も含めて紹介しておきます。
AONIC 50 とは?
Bluetooth, USB-C, アナログ接続が可能なShure社製のヘッドホン。
- BluetoothはApt-x LLに対応していて、低遅延でゲームをすることが可能。音楽鑑賞用には、高音質コーデックLDAC, Apt-x HDにも対応。
- 有線のUSB-C接続だと、さらに音が良くなる。
- アクティブノイズキャンセル(ANC)に対応しているので、エアコン/洗濯機/お掃除ロボットの音などの室内騒音も打ち消せます。
購入してから1年ほど愛用中。
高音域が非常に綺麗に鳴るのがいいところ。
不満な点は、低域の量感が不足気味なことくらい。
環境
私の家のオーディオ環境はこちら。
Blutooth音声出力の部分のみを記載しており、光デジタル接続からのDAコンバーター/アンプ/スピーカーは省略しています。
これまでの問題点
HDMI切替器、Bluetoothトランスミッター、AONIC50ではイコライザーをかけれないため、各音源で音質を調整。
macbook proはeqMacというイコライザーアプリによって実現可能。
Switch/PS4はイコライザーを搭載していないし、追加のアプリもインストールできないので、実現不可能。
ヘッドフォンの不満点は低域の量感不足で、特にゲームをするときに顕著。
ゲーム機側がイコライザーを搭載するのは難しそうなので、改善するためには、HDMI切替器とBluetoothトランスミッターの間にデジタルイコライザーを挟むしか手はないと考えていた。
けれども、デジタルイコライザーは値段が高いし、機材も大きいので場所を取ります。
これだと100%満足な解決策とはなりえません。
参考: デジタルイコライザー
音源のところでイコライザーをかけるのをやめて、AONIC 50自身がイコライザーをかけることができれば、すべて解決のはず!
ということで、今回のアップデートによる「ハードウェアEQ」は、良い解決策になると見込みました。
アップデート内容
今回アップデートされた内容を確認します。
専用アプリ(ShurePlus PLAYモバイルリスニングアプリ)
New FeaturesのところにHardware EQと記載あり。
ただし、このアプリ自体は、Shure製ヘッドホン/イヤホンの専用アプリであって、AONIC50専用ではありません。
そのため、この表記だけだと、"supported Shure headphones or earphones" としか書いてないので、AONIC50が対応かどうか判定できません。
AONIC50 ファームウェア
AONIC50のファームウェアもアップデートされていたので、リリースノートを確認。
New Featuresのところに、"カスタマイズした音質の設定をデバイスへ直接保存できる" とあります。
このファームウェアはAONIC50専用のものなので、ハードウェアEQに対応していることが確定しました。
専用アプリ/ファームウェアのアップデート方法は、アップデートのボタンを押して待つだけです。
イコライザーの設定
イコライザーの設定は、こちらのAutoEQプロジェクトを参照しています。
理想の周波数特性にするために、"ヘッドフォンごと" の設定が公開されているのが素晴らしい!
AutoEq Project
github.com
Shure AONIC 50も設定が公開されているので、こちらの設定を参照しています。
Parametric(パラメトリック)だと9バンド、Fixed Bandだと10バンド必要です。
こちらが、専用アプリの設定画面。
全部で4バンド、パラメトリックは2つ分しかありません。
高音域は不満がないので、低音域を中心に調整することにします。
専用アプリ下側にあるイコライザーのタブを選択し、右上のイコライザーをオンにして、マニュアルで4種類のバンドを設定。
〜詳細〜
No./種類/周波数/Gain/帯域幅
- /ローシェルフ/40Hz/5.0db/2.8oct
- /パラメトリック/137Hz/-4.0db/1.1oct
- /パラメトリック/536Hz/4.0db/1.4oct
- /ハイシェルフ/*Hz/0.0db/*oct (高音域は不満がないのでGainを0dbにできれば良い)
※ 今回はとりあえずの初回設定。さらに良い設定を求めて、今後もチューニングしていくつもり。
カスタムプリセットの欄で、”カスタム”(名前の変更も可能)が蛍光緑で色付けされ、右側にあるヘッドフォンマークへチェックが付いたら、ヘッドフォンへの設定転送も完了です。
まとめ
設定できるバンド数が少ないので、完璧に問題が解決したとは言えません。
けれども、不満は解消した状態になったと言えます。
無料のアップデートとしては神アプデと言えるでしょう!
ヘッドフォンは部屋の定在波なんて関係ないので、AutoEQの設定を使ってイコライジングすれば、どんな状況でも理想の音質を実現できてしまいます。
ハードウェアEQが搭載されていることを前提として、
- 必要なBluetoothのコーデック
- ノイズキャンセリング機能の有無
- AutoEQで設定が公開されている
- AutoEQでイコライジングする量が少ない(イコライジングによる歪みを最小化)
- 見た目/装着感の好み
という観点で、ヘッドフォンの選択肢を検討するのが良さそう。
ただ、「もう、スピーカーの時代は終わったのか・・・」と思うと、少し悲しくもありますね。
おまけ(トラブルシューティング)
ファームウェアのアップデート時や、ハードウェアEQの設定を保存するときは、専用アプリを入れたスマートフォンとAONIC50を1:1でペアリングしておくことが必要。
マルチペアリングしていると、専用アプリからAONIC50を認識できないようです。
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AONIC50を、過去に修理に出したという内容。 lsp.hatenablog.jp